世界一臭い食べ物は何?シュールストレミングから学ぶ「臭いけど旨い」発酵グルメランキング

世界一臭い食べ物

  1. 世界一臭い食べ物とは?まず知っておきたい結論と楽しみ方
    1. 「臭い=まずい」ではない理由
    2. 臭さを比べる指標(OU)とは
    3. 臭い食べ物が生まれる背景(保存・気候・文化)
  2. 世界一臭いと話題のシュールストレミング徹底解説
    1. シュールストレミングの基本情報(原料・特徴)
      1. 名前の意味と発祥地の概要
    2. なぜここまで臭うのか(臭いの正体)
      1. 発酵で生まれる主要なにおい成分のイメージ
    3. 歴史と誕生の経緯(保存食としての必然)
      1. 冷蔵技術がない時代の工夫と缶詰化
    4. おすすめの食べ方と”失敗しない”コツ
      1. 下処理・開封場所・合わせる食材の例
      2. 初心者向けの食べやすいアレンジ
    5. 注意点(開封・保管・マナー)
      1. 匂い対策と周囲への配慮ポイント
  3. 世界の臭い食べ物ランキングTOP5
    1. ランキングの見方(臭さ・食文化・入手性で理解する)
    2. TOP5一覧(特徴と臭いの傾向)
      1. シュールストレミングの特徴
      2. ホンオフェの特徴(アンモニア臭のイメージ)
      3. 強烈な香りのチーズ系の特徴(熟成の仕組み)
      4. キビヤックの特徴(発酵・保存の文化)
      5. くさやの特徴(くさや液と旨味)
  4. 地域別「臭いけどおいしい」発酵グルメガイド
    1. 日本の代表例(鮒ずし・納豆・たくあん など)
      1. 臭いの理由と味わいの魅力(乳酸発酵・納豆菌など)
    2. 中国の代表例(臭豆腐)
      1. 製法のイメージと食べやすくする調理の工夫
    3. 東南アジアの代表例(魚醤系)
      1. 料理での使い方と”旨味が立つ”合わせ方
    4. ヨーロッパの代表例(ブルーチーズ各種)
      1. 種類ごとの香りの違いと選び方
  5. 臭いの裏に発酵あり|初心者向け発酵の基礎知識
    1. 発酵とは何か(腐敗との違い)
      1. 微生物の働きで「人に有用」になるポイント
    2. 発酵がもたらすメリット(旨味・栄養・保存性)
      1. 香りが強くなる仕組みをやさしく理解する
    3. 世界と日本の発酵文化の広がり
      1. 暮らしに根付いた発酵食品の例
  6. 挑戦して楽しむための実践ガイド
    1. 初挑戦におすすめの選び方(難易度別)
      1. 初心者向け(比較的マイルド)
      2. 中級者向け(香りが強い)
      3. 上級者向け(最強クラス)
    2. 食べ比べのコツ(記録・ペアリング・評価軸)
      1. 香り・旨味・後味・食感で比べる
    3. 入手方法と保存のポイント
      1. 通販・専門店での選び方
      2. 保管時の匂い漏れ対策
  7. よくある質問
    1. 本当に世界一臭い食べ物はシュールストレミングですか?
    2. 部屋で開けても大丈夫ですか?
    3. 臭い食べ物は健康に良いのですか?
    4. 食べやすくする一番簡単な方法は?
  8. まとめ|「臭い」は発酵の個性。自分だけの臭い食べ物ランキングを作ってみましょう

世界一臭い食べ物とは?まず知っておきたい結論と楽しみ方

「世界一臭い食べ物」という表現を聞くと、多くの人は「食べられないほど臭い、まずい食べ物」を連想するでしょう。しかし、実際には、世界一臭い食べ物こそが、実は「奥深い旨味」を持つ、グルメ的に高く評価される食べ物であることがほとんどです。本記事では、シュールストレミングをはじめとする世界の臭い食べ物を、その臭さの理由、楽しみ方、そして発酵文化の背景から、わかりやすく解説します。

「臭い=まずい」ではない理由

臭さと味わいは、実は無関係です。むしろ、「強い臭いを持つ食べ物」は「強い旨味成分を含む食べ物」であることが多いのです。

その理由は、嗅覚と味覚が密接に関連しているからです。私たちが「美味しい」と感じるのは、舌の味蕾(みらい)だけでなく、鼻の奥の嗅覚受容体が感知する「香り」や「臭い」も大きな役割を果たしています。強い臭いの食べ物には、通常、強い旨味成分(アミノ酸や有機酸)も含まれており、これらが「深い味わい」を生み出すのです。

例えば、チーズの中でも最も「臭い」ブルーチーズは、同時に「最も旨味が濃い」と評価される傾向があります。

臭さを比べる指標(OU)とは

科学的に「臭さ」を測定するために、「臭気単位(Odor Unit:OU)」という指標が使用されることがあります。しかし、より広く知られているのは、「臭いの強さを感知できる最低濃度」を表す「臭気指数」です。

スウェーデンの研究では、シュールストレミングの臭気指数は約8,070 OUと測定されており、これは一般的な食品の中で最高レベルです。比較として、チーズの臭気指数は約1,000~2,000 OU程度であり、シュールストレミングがいかに「飛び抜けて臭い」かが理解できます。

臭い食べ物が生まれる背景(保存・気候・文化)

世界中の「臭い食べ物」は、けっして「わざわざ臭くするために開発された」ものではありません。むしろ、以下の背景があります。

  • 保存技術の必然性:冷蔵技術が存在しなかった時代、食べ物を長期保存するために、塩漬けや発酵という方法が採用された。これらの過程で、独特の臭いが生まれた
  • 気候への適応:寒冷地では、塩漬けや発酵により、冬の間の食料確保が可能になった。結果として、各地域で独特の発酵食品文化が生まれた
  • 文化的継承:何世代にもわたって継承された味わいや食べ方が、その地域の「ソウルフード」となり、誇りの対象になった

世界一臭いと話題のシュールストレミング徹底解説

「世界一臭い食べ物」として、最も名前が知られているのが「シュールストレミング」です。ここでは、シュールストレミングについて、詳しく解説します。

シュールストレミングの基本情報(原料・特徴)

シュールストレミングは、スウェーデン北部の発祥の食べ物で、小型の魚「シュールストレム」を、塩漬けにして発酵させたものです。

名前の意味と発祥地の概要

「シュールストレミング」という名前は、スウェーデン語の「シュール(小魚)」と「ストレミング(ニシン科の魚)」から来ています。つまり、「小さいニシン科の魚の塩漬け発酵」という意味です。

シュールストレミングが発祥した地域は、スウェーデンの北部にある「ノルボッテン地方」です。この地域は、バルト海に近い極寒地で、冬が非常に長く、食料の保存が生死を分ける重大な問題でした。そこで、豊富に取れる小魚を塩漬けにして発酵させることで、冬の貴重な栄養源にしたのです。

なぜここまで臭うのか(臭いの正体)

シュールストレミングの臭いは、魚を塩漬けにした過程で、複数の化学反応が起こり、特有の臭い成分が発生するために起こります。

発酵で生まれる主要なにおい成分のイメージ

主要な臭い成分:

  • トリメチルアミン:腐った卵のような臭い。魚の腐敗時にも発生する物質
  • アンモニア:強烈な刺激的な臭い。尿のような臭いとも表現される
  • 硫化水素:腐った野菜のような臭い。温泉の硫黄のような臭い
  • 酪酸:発酵したバター、またはチーズのような臭い。この成分だけは「まだマシ」な臭いだが、他の成分と混ざると、複雑な悪臭になる

これらの成分が複合して、シュールストレミングの「一度嗅いだら忘れられない」という独特の臭いを作り出すのです。

歴史と誕生の経緯(保存食としての必然)

シュールストレミングは、いつ、どのような背景で誕生したのでしょうか。

冷蔵技術がない時代の工夫と缶詰化

起源:シュールストレミングの正確な起源は不明ですが、少なくとも16世紀にはスウェーデン北部で食べられていたと言われています。

冷蔵技術がない時代の工夫:冷蔵庫がない時代、食べ物を長期保存するには、「塩漬け」「干物」「発酵」という三大技術がありました。シュールストレミングは、これら三つをすべて組み合わせた、究極の保存食だったのです。塩漬けにすることで、塩が腐敗を防ぎ、同時に塩辛い環境では特定の「良い菌」だけが繁殖し、発酵が進みます。

缶詰化:20世紀初頭、シュールストレミングは缶詰化されました。この革新により、スウェーデン国外への輸出が可能になり、世界に広がるようになったのです。

興味深いことに、シュールストレミングの缶の中でも、微生物による発酵は続いており、缶が「膨らむ」という現象が起こることもあります。これは、発酵時に発生するガスが、缶の内圧を高めるためです。

おすすめの食べ方と”失敗しない”コツ

シュールストレミングは、「ただ食べる」だけでは、その臭さに圧倒されて終わる可能性があります。正しい食べ方を知ることで、より楽しむことができます。

食べ方の具体例と合わせる食材のヒントも参考にしながら、無理なく「臭いけど旨い」体験に近づけるのがコツです。

下処理・開封場所・合わせる食材の例

下処理:シュールストレミングの缶を開けたら、まず中身を取り出します。缶の中には、「液体」「魚の身」「骨」が混在しています。この液体(塩汁)から、魚の身を取り出し、水で軽くすすぎます。これにより、表面の塩辛さが緩和されます。

開封場所:絶対に室内で開けてはいけません。シュールストレミングの缶を開けると、その臭いが部屋全体に充満し、数日間は取れなくなる可能性があります。必ず、窓を大きく開けた場所、またはベランダで開けてください。

合わせる食材の例:

  • ライ麦パン:ザクザクとした食感のライ麦パンに、シュールストレミングと玉ねぎをのせて食べると、独特の組み合わせが生まれる
  • 新じゃがいも:ホカホカに温めた新じゃがいもに、シュールストレミングをのせると、温度のコントラストが臭さを和らげる
  • 玉ねぎ(生):薄くスライスした玉ねぎの爽やかさが、シュールストレミングの臭さを緩和する
  • 酢漬け野菜:酢の酸味が、独特の香りを引き立たせる

初心者向けの食べやすいアレンジ

パスタにする:シュールストレミングを細かく刻んで、パスタの具として使う。パスタのクリームソースと混ぜると、臭さが緩和される傾向がある。

ピザのトッピング:シュールストレミングをピザの具として使用。他の具材との組み合わせにより、臭さが複雑化し、意外と食べやすくなることがある。

スープの具:スープに加えると、液体が臭い成分を吸収し、スープ自体が「臭い香りを持つ、しかし旨味深いスープ」になる。

注意点(開封・保管・マナー)

シュールストレミングは、その臭さゆえに、取り扱いに特別な注意が必要です。

匂い対策と周囲への配慮ポイント

開封時の注意:

  • 窓を全開に:開封するときは、窓を最大限に開け、換気扇を最大に設定
  • 他の人への通知:家族や隣人に「シュールストレミングを開ける」ことを事前に通知し、同意を得る
  • 手袋の使用:手袋を着用し、臭いが手に付着するのを防ぐ
  • 処理用具の準備:缶を開けたら、すぐにビニール袋に詰めて密閉し、屋外のゴミ箱に捨てる

保管時の注意:

  • 冷蔵庫での保管は推奨されない:冷蔵庫全体に臭いが充満する。もし保管する必要がある場合は、密閉容器に入れ、さらにビニール袋に包む
  • 常温での短期保管:開けずに保管する場合は、常温で十分。ただし、密閉性を確認
  • 臭い漏れ対策:缶が膨らんでいないか、定期的に確認。膨らんでいる場合は、ガスが内部で発生している可能性があり、開封時に液体が飛び出す可能性

社会的マナー:

シュールストレミングは、その臭さから「公共の場での食事に不適切」とされることがあります。飛行機、学校、図書館などでの食事は、周囲への配慮から避けるべきです。

世界の臭い食べ物ランキングTOP5

シュールストレミング以外にも、世界には「極めて臭い」食べ物が複数存在します。ここでは、世界の臭い食べ物を、ランキング形式で紹介します。

ランキングの見方(臭さ・食文化・入手性で理解する)

「世界一臭い食べ物は何か」という問いに対する答えは、以下の複数の軸で変わります。

  • 純粋な臭さの強さ:臭気指数やにおい成分の種類で測定した「最強臭」
  • 世界的な認知度:世界中でその臭さが知られているかどうか
  • 入手性:実際に手に入れることが容易かどうか
  • 食文化としての重要性:その地域の文化や伝統がどの程度組み込まれているか

本ランキングでは、これら複数の軸を考慮し、「世界的に『臭い』として認識されている食べ物」を順位付けしています。

TOP5一覧(特徴と臭いの傾向)

シュールストレミングの特徴

第1位:シュールストレミング(スウェーデン)
臭気指数:約8,070 OU(最強クラス)
臭いの種類:トリメチルアミン、アンモニア、硫化水素の複合
食文化:スウェーデン北部の伝統的保存食
特徴:「世界一臭い食べ物」としての認知度が最も高い

ホンオフェの特徴(アンモニア臭のイメージ)

第2位:ホンオフェ(韓国)
臭気指数:約7,000~7,500 OU
臭いの種類:アンモニア臭が主体。尿のような強烈な臭い
原料:ガンギエイ(エイ)を塩漬けにして発酵させたもの
食文化:韓国の伝統的な冬の保存食
特徴:アンモニア臭の強さでは世界最高水準。「シュールストレミングより臭い」と感じる人も多い
食べ方:スライスして、ご飯に乗せて食べるか、スープに加える

強烈な香りのチーズ系の特徴(熟成の仕組み)

第3位:リムバーガーチーズ(ドイツ)
臭気指数:約3,500 OU
臭いの種類:発酵チーズ特有の酪酸。「トイレのような臭い」と表現されることが多い
製造過程:ウォッシュド・チーズという方法で、塩水で定期的に洗浄しながら熟成。この過程で、特有の微生物が増殖し、臭い成分が発生
食文化:ドイツ・ベルギー周辺の伝統的なチーズ
特徴:「食べるとは違う臭さ」。つまり、嗅いだ時の臭さと、実際の味わいの乖離が最も大きい食べ物の1つ
食べ方:クラッカーやパンに乗せて、ワインと一緒に

キビヤックの特徴(発酵・保存の文化)

第4位:キビヤック(グリーンランド・イヌイット)
臭気指数:測定値不明だが、現地でも「最強クラス」と評価
臭いの種類:複数の魚を塩漬けにし、アザラシの皮に詰めて埋めて発酵させたもの。複雑な腐敗臭と発酵臭が混在
原料:小魚(オーロラスサハマ等)をアザラシの皮に詰めて、土の中に埋める。数ヶ月~数年間、地中で発酵
食文化:グリーンランドのイヌイット(エスキモー)の伝統的な冬の保存食。現在は、食べる機会がかなり限定的
特徴:調理過程そのものが「埋める」という独特の方法。現在では、衛生上の理由から、あまり一般的ではなくなっている

くさやの特徴(くさや液と旨味)

第5位:くさや(日本)
臭気指数:約1,000~1,500 OU(ランキング中では最も「弱い」が、それでも強烈)
臭いの種類:小魚を特定の液に漬け込んで干したもの。独特の塩辛い臭いと、少しの魚臭さ
原料:トビウオなどの小魚。「くさや液」という、複数の海産物を漬け込んで発酵させた液に浸す
食文化:日本の伊豆諸島(新島など)の伝統的な保存食。江戸時代から続く食べ物
特徴:嗅覚が慣れやすく、「最初は臭いけれど、何度か食べると臭さが気にならなくなる」という特性がある
食べ方:薄くスライスして、ご飯の上に乗せて食べるのが一般的。温かいご飯の上に乗せると、臭いが立ち上がる

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地域別「臭いけどおいしい」発酵グルメガイド

世界中には、シュールストレミングやホンオフェ以外にも、「臭い」けれど「うまい」という発酵食品が、数え切れないほど存在します。地域別に紹介します。

日本の代表例(鮒ずし・納豆・たくあん など)

日本は、実は「臭い発酵食品大国」です。

臭いの理由と味わいの魅力(乳酸発酵・納豆菌など)

鮒ずし(ふなずし):
滋賀県の琵琶湖産のフナを塩漬けにし、米麹と一緒に樽で長期発酵させたもの。独特の臭いと、極めて深い旨味が特徴。臭い理由は、乳酸菌による発酵で、乳酸やアミノ酸が蓄積するため。

納豆(なっとう):
大豆を納豆菌で発酵させたもの。アンモニアのような臭い、硫黄のような臭いが特徴。世界的には「最も臭い日本食」として認識されることが多い。臭い理由は、納豆菌の代謝産物として、各種のにおい成分が発生するため。旨味成分としては、グルタミン酸(うま味調味料の原料)が大量に含まれている。

たくあん(沢庵):
大根を塩漬けにして発酵させたもの。独特の酸っぱい臭いと、塩辛い香りが特徴。乳酸菌による発酵で、乳酸が蓄積し、特有の香りが生じる。

中国の代表例(臭豆腐)

臭豆腐(チョウドウフ):
豆腐を特殊な液に漬け込んで発酵させたもの。色は黒く、臭いは「トイレのような臭い」と表現されることが多い。中国の屋台では一般的な食べ物で、ポピュラリティは非常に高い。

製法のイメージと食べやすくする調理の工夫

製法:豆腐を、野菜屑、海産物、香辛料を塩漬けにした液(「卤水」と呼ばれる)に漬け込む。この液の中で、複数の微生物が繁殖し、発酵が進むにつれて、豆腐の表面が黒くなり、臭いが強くなる。

食べやすくする調理の工夫:
臭豆腐は、そのまま食べるのではなく、ほぼ常に「調理」されます。

  • 揚げる:油で揚げることで、外側がカリカリになり、中は柔らかくなる。香ばしさが加わり、臭さが緩和される
  • スープに加える:辛いスープ(麻辣スープなど)に加えることで、スープの複雑な味わいに溶け込み、臭さが目立たなくなる
  • ソースで和える:特製のソース(唐辛子、ニンニク、香辛料を混ぜたもの)と絡めることで、別の強い香りでマスクする
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東南アジアの代表例(魚醤系)

東南アジア全域では、魚を塩漬けにして発酵させた「魚醤」が、調味料として広く使われています。

料理での使い方と”旨味が立つ”合わせ方

ナムプラー(タイの魚醤):
小魚を塩漬けにして、液体を抽出したもの。独特の臭いを持つが、タイ料理では「基本調味料」として使われている。ソムタムなどのサラダから、スープまで、幅広い料理に使用される。

ニョクマム(ベトナムの魚醤):
ナムプラーとほぼ同じ原理だが、ベトナム独自の製法により、やや異なる香りを持つ。ベトナム料理全体の「基盤となる調味料」であり、フォーなどの国民的料理には必須。

“旨味が立つ”合わせ方:

  • 酸味との組み合わせ:ライム汁やビネガーと混ぜることで、酸味が魚醤の臭さを中和し、旨味だけが立ち上がる。タイやベトナムの伝統的な食べ方
  • 辛さとの組み合わせ:唐辛子の辛さが加わることで、複数の刺激が組み合わさり、臭さが気にならなくなる
  • 甘さとの組み合わせ:砂糖やココナッツを加えることで、バランスの取れた複雑な味わいになる

ヨーロッパの代表例(ブルーチーズ各種)

ヨーロッパ、特にフランス・イタリア周辺では、青かびで発酵させた「ブルーチーズ」が、「臭い食べ物の代表」です。

種類ごとの香りの違いと選び方

ロックフォール(フランス):
羊乳を使ったブルーチーズ。臭いの強さは中程度で、ランキング内では「比較的優しい」部類。独特のしょっぱさと、青かび特有の香りが特徴。初心者向け。

ゴルゴンゾーラ(イタリア):
牛乳を使ったブルーチーズ。ロックフォールより臭いが強く、より「チーズらしい臭い」を持つ。中級者向け。

スティルトン(イギリス):
「ブルーチーズの王様」と呼ばれ、最も臭いが強い。複雑な香りと、極めて濃い旨味が特徴。上級者向け。

選び方:
初めてブルーチーズを試す場合は、ロックフォールから始め、慣れたらゴルゴンゾーラ、最後にスティルトンへ進むという段階的なアプローチが推奨される。

臭いの裏に発酵あり|初心者向け発酵の基礎知識

「臭い食べ物」は、実は「発酵食品」であることがほとんどです。発酵について理解することで、臭い食べ物への見方が変わります。

発酵の仕組みをもう少しだけ掘り下げたい場合は、発酵と香りの関係を整理した解説もあわせて確認すると理解がスムーズです。

発酵とは何か(腐敗との違い)

「発酵」と「腐敗」は、似ているようで大きく異なります。

発酵:
微生物(バクテリア、酵母、カビなど)が、有機物を分解し、新しい化学物質を作り出すプロセス。その過程で、「人間にとって有用な物質」が生成される場合を「発酵」と呼びます。例えば、ヨーグルトの「乳酸菌」や、パンの「酵母」は、人間にとって有用な微生物です。

腐敗:
微生物による分解プロセスそのものは発酵と同じですが、その結果として「人間にとって有害な物質」が生成される場合を「腐敗」と呼びます。例えば、生肉が腐った場合、ボツリヌス菌などの危険な微生物が増殖し、毒素を発生させます。

微生物の働きで「人に有用」になるポイント

発酵が「有用」になるための条件:

  • 適切な温度:各微生物が最も活動的になる温度範囲がある。その範囲外では、有害な微生物が増殖する可能性が高まる
  • 適切な塩分濃度:塩漬けすることで、有害な微生物を抑制し、乳酸菌などの「良い菌」だけを増殖させることができる
  • 適切な時間:発酵には、「最適な時間」があります。時間が短すぎると不完全な発酵になり、長すぎると別の微生物が増殖する可能性
  • 適切な環境(酸素の有無など):発酵には、「嫌気性発酵(酸素なし)」と「好気性発酵(酸素あり)」があります。各食べ物に応じた環境が必要

発酵がもたらすメリット(旨味・栄養・保存性)

発酵は、単に「食べ物を保存する」ための方法ではなく、多くのメリットをもたらします。

香りが強くなる仕組みをやさしく理解する

旨味の増加:
発酵過程で、タンパク質が分解されて、アミノ酸が生成されます。アミノ酸(特にグルタミン酸)は、旨味成分として機能します。つまり、発酵食品は「元の食材より旨い」のです。

栄養価の向上:
発酵により、ビタミンが増加したり、栄養素がより吸収しやすい形に変わったりします。また、有害な物質が減少することもあります。

保存性の向上:
塩漬けと発酵により、有害な微生物の増殖が抑制され、食べ物が長期間保存できるようになります。

香りが強くなる仕組み:
発酵過程で、「揮発性有機化合物」が生成されます。これらの物質が、独特の香り、あるいは「臭い」として感知されるのです。これらの物質には、においだけでなく、味わいも深く関連しています。つまり、「強い臭い」は「深い旨味」と表裏一体の関係にあるのです。

世界と日本の発酵文化の広がり

発酵食品は、世界中の食文化に深く組み込まれています。

暮らしに根付いた発酵食品の例

日本:味噌、醤油、納豆、漬物、甘酒など、毎日の食卓に登場する発酵食品が多数。日本料理は、実は「発酵食品文化」と言っても過言ではありません。

韓国:キムチ(唐辛子漬け)、テンジャン(味噌)、コチュジャン(唐辛子味噌)など、ほぼすべての家庭料理に発酵食品が使われています。

中国:豆板醤、豆鼓(黒豆の塩漬け発酵)、泡菜(漬物)など、多様な発酵食品が存在します。

ヨーロッパ:チーズ、ワイン、ビール、ザワークラウト(キャベツの塩漬け)など、発酵食品は食文化の中核を成しています。

東南アジア:魚醤、ナンプラー、テンペ(大豆の発酵食品)など、調味料から主食まで、発酵食品が支配的です。

挑戦して楽しむための実践ガイド

「臭い食べ物を試してみたい」という好奇心が生まれたら、実践的なガイドを参考に、段階的に挑戦することが推奨されます。

初挑戦におすすめの選び方(難易度別)

初心者向け(比較的マイルド)

初めて「臭い発酵食品」に挑戦する場合は、以下がおすすめです。

  • くさや(日本):臭いは強いが、嗅覚が「適応」しやすい。数回食べると、臭さが気にならなくなる傾向
  • 納豆(日本):世界的には「臭い」とされるが、日本人にとっては比較的なじみやすい。アンモニア臭は強いが、旨味がはっきりしている
  • ロックフォール(フランス):ブルーチーズの中で最も臭いが穏やか。チーズとしての旨味が強く、味わいやすい

中級者向け(香りが強い)

初心者段階を経て、より「強い臭い」に挑戦したい場合。

  • ゴルゴンゾーラ(イタリア):ロックフォールより臭いが強く、より複雑な香りを持つ
  • 鮒ずし(日本):乳酸発酵特有の臭いが強い。試す前に、覚悟が必要
  • 臭豆腐(中国):「トイレのような臭い」と評価されるが、実際に食べてみると「案外いける」という人も多い

上級者向け(最強クラス)

複数の臭い食べ物に慣れた後、「最強の臭さ」に挑戦する段階。

  • シュールストレミング(スウェーデン):世界的に認識される「最強の臭さ」。挑戦しがいがある
  • ホンオフェ(韓国):アンモニア臭が最強。シュールストレミングよりも「臭い」と感じる人も多い
  • スティルトン(イギリス):ブルーチーズの最高峰。臭さと旨味の両方が最強クラス

食べ比べのコツ(記録・ペアリング・評価軸)

複数の臭い食べ物を食べ比べる場合、以下のコツが有効です。

香り・旨味・後味・食感で比べる

評価軸の設定:

  • 香り:「どのような臭いか」を言語化する。「アンモニア臭」「魚臭」「土の香り」など、具体的に表現
  • 旨味:塩辛さ、甘さ、酸味など、基本的な味わいを判定
  • 後味:食べた後に、どのような余韻が残るか。爽やかか、重いか、など
  • 食感:柔らかさ、弾力性、溶け方など

記録のコツ:
複数の食べ物を試す場合は、「記録」を取ることが推奨されます。スマートフォンのメモに、上記の評価軸で点数を付けることで、後から「どの食べ物が自分に合っていたか」を客観的に判断できます。

入手方法と保存のポイント

通販・専門店での選び方

通販での購入:

  • Amazon:多くの臭い食べ物が販売されている。特にシュールストレミングやくさやは、容易に入手可能
  • 楽天:日本の発酵食品(納豆、鮒ずしなど)の品揃えが豊富
  • 海外の食品輸入サイト:スウェーデンやアイスランドの食品を専門に扱うサイトで、より「本物」のシュールストレミングを入手可能

伊豆諸島の海産物系の特産品を探す場合は、海産物の特産品がまとまっている一覧を見て選ぶとイメージしやすいです。

専門店での購入:

  • チーズ専門店:ロックフォール、ゴルゴンゾーラなどのブルーチーズを、高品質で入手可能
  • アジア食材店:くさや、鮒ずし、臭豆腐などの東アジア発酵食品が入手可能
  • 北欧食品輸入店:シュールストレミングやリムバーガーチーズなどの北欧食品が入手可能(都市部では限定的)

保管時の匂い漏れ対策

冷蔵庫での保管:
臭い食べ物は、冷蔵庫全体に臭いが充満する可能性があります。対策としては。

  • 密閉容器に入れる:元の缶やパッケージから、さらに密閉性の高い容器(タッパーウェアなど)に移す
  • ビニール袋で二重包装:密閉容器に入れた後、さらにビニール袋に入れる
  • 冷蔵庫の奥に配置:出し入れの際に、臭いが逃げやすい場所を避ける
  • 備長炭を置く:冷蔵庫内に備長炭を置くことで、臭いを吸収できる

よくある質問

本当に世界一臭い食べ物はシュールストレミングですか?

答え:「最も広く認識されている」のはシュールストレミングですが、「絶対的な最強」ではありません。

臭気指数では、シュールストレミングが約8,070 OUで、多くの臭い食べ物の中で最高水準です。しかし、ホンオフェについては測定値が不明確で、むしろホンオフェの方が「臭い」と感じる人も多いです。

また、キビヤックなど、測定されていない食べ物もあり、「絶対的な最強」を決めることは難しいのです。

部屋で開けても大丈夫ですか?

答え:おすすめできません。

シュールストレミングなどの強烈な臭いの食べ物を室内で開封すると、数日間は臭いが取れなくなる可能性があります。必ず、窓を大きく開けた場所か、ベランダ・庭で開けることを推奨します。

臭い食べ物は健康に良いのですか?

答え:発酵食品であるため、一般的には健康に良いと言えます。

発酵過程で、プロバイオティクス(有用な微生物)が増殖し、また栄養素が増加する傾向があります。ただし、塩分が多いため、過剰摂取は避けるべきです。

食べやすくする一番簡単な方法は?

答え:「強い味わい」と合わせることです。

辛いスープ、濃いソース、酸っぱい酢漬けなど、「別の強い味わい」と組み合わせることで、臭さが相対的に目立たなくなります。

まとめ|「臭い」は発酵の個性。自分だけの臭い食べ物ランキングを作ってみましょう

「世界一臭い食べ物」という概念は、実は「世界一旨い食べ物」と表裏一体の関係にあります。

シュールストレミング、ホンオフェ、くさや、臭豆腐、ブルーチーズなど、世界の「臭い食べ物」は、その地域の文化、気候、保存技術、そして何世代にもわたる人々の工夫から、生まれました。

「臭さ」は、決して「欠陥」ではなく、発酵という化学プロセスが生み出した「個性」であり、その奥には、常に「深い旨味」と「栄養価」が隠れています。

本記事で紹介した「初心者向け」から「上級者向け」の食べ物の中から、複数を試してみることで、あなた自身の「臭い食べ物ランキング」が見えてくるでしょう。

「臭い」という先入観を手放し、「発酵食品」という科学と「食文化」という人間の営みに思いを馳せながら、世界の臭い食べ物の世界を探索してみてください。その過程で、あなたの「食」に対する見方が、大きく変わるかもしれません。